文書作成日:2024/05/20
納骨・埋葬の仕方

今回は相談事例を通じて、納骨や埋葬の仕方について、ご紹介します。

Q
今月のご相談

 私は現在、夫と2人で暮らしています。最近、終活準備を夫と一緒に始めたのですが、悩んでいるのがお墓のことです。夫の家系のお墓も私の家系のお墓も頼ることができないため、自分たちで用意するしかないのですが、近年は様々な埋葬の仕方があり、どう決めたらよいのかよく分かりません。また、私たち夫婦には子供がいないので、管理をどうしたらよいのかと悩んでいます。

A-1
ワンポイントアドバイス

 納骨・埋葬の仕方はいくつか選択肢があり、一般的な墓石を建てるものや、納骨堂、樹木葬、もしくはお墓という形ではなく、海や山に遺灰を撒く散骨などもあります。まずはご自身がどうしたいのかを考えていただくとよいでしょう。その後の管理については、希望する納骨・埋葬の仕方によって変わってきます。

A-2
詳細解説

 一般的な墓石を建てるお墓には、寺院にある墓地や、民間で運営されている霊園、都道府県や市区町村が管理・運営している公営の霊園等の種類があります。検討する場合は、希望する霊園等に永代供養墓や永代供養塔があるかについて確認しておきましょう。

 個別のお墓の場合、お墓の承継者がいない状態で、永久にその場所を確保しておくことは現実的ではありません。お墓の承継者がいない場合、霊園等でどのような対応をしてもらえるのかを確認する必要があります。

 納骨堂は、室内のため天候に関係なくお参りができ、管理や掃除の負担が少ないのが特徴です。個別で納骨し、一定期間経過後に永代供養に切り替わることが一般的です。

 樹木葬では、埋葬した場所に墓石の代わりにシンボルツリーを植える、またはシンボルツリーの周りに埋葬します。注意点としては、好きな場所に埋葬することができるわけではなく、墓地の区域内でのみ認められている(墓地、埋葬等に関する法律第4条)という点です。一般的に永代供養であることが多いです。

 散骨は海や山に遺灰を撒きますので、管理等の必要がありません。ただし、2つの注意点があります。1点目は、刑法190条の遺骨遺棄に該当してしまう可能性があることです。2点目は、風評被害や近隣の住環境、自然環境への配慮等のトラブル防止のため、散骨を条例で禁止している地方公共団体があることです。散骨の場合は法律・条例等に抵触しないように注意しなければなりません。また、業者に依頼する場合は、適正な方法・手段で行ってもらえるのかよく確認するとよいでしょう。

 納骨・埋葬の仕方により費用が変わってきますので、検討の段階からどのくらいかかるのか確認されることをお勧めします。また、希望するお墓に納骨、もしくは散骨してくれる人がいない場合(本件では相談者夫妻どちらか先に亡くなってしまい1人残されてしまった後のこと)、その希望を叶えてくれる第三者が必要になります。親族が対応してくれる場合は問題ありませんが、頼れる人がいない・頼りにくい・頼りたくない等の場合には、専門家と死後事務委任契約を結んでおくと安心です。

 詳しくお知りになりたい場合は、死後事務委任契約の業務をしている専門家にご相談いただくとよいでしょう。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。